John Atkinson Grimshaw
今宵もまた刃形の月が出ている。青い月光に照らされて、
磧(かわら)がどこまでも続いている。何十年もかかって、自分が
歩いて来た磧である。磧はどこまでも見渡せる。よくこ
んなに見渡せると思うほど遠くまで見渡せる。その磧の
道を人が歩いて来る。いつか一度会い、それ限り思い出
さなかった人である。曾(かつて)て交わした会話を、もう一度交す
ためにやって来るのである。そのためだけに、その人は
やって来る。 やがて、私たちは言葉を交わす。現在とは無
関係で、遠い過去の、その時だけ意味を持っていた言葉
が、月光のなかを走り、光り、凍る。一瞬にして演技は終
り、その人は居なくなる。あとには言葉だけが残る。私
は言葉と一緒に残されている。凍った言葉は、私の掌の
中で次第に重さを増してくる。その言葉の重さに耐えか
ねて、私は次第に小さくなる。どこまでもどこまでも、
小さくなって行く。
月光が消え、磧の道が消える。私は再びもとの大きさを
取り戻す。私の掌から言葉は消えて失くなっている。
その頃から風の音が聞えてくる。私は一人の旅人となって
歩き出す。まだ歩いたことのない遠い先きに向かって歩き
出す。言葉の持った冷たさだけが、私には残されている。
"夜半の眼覚め"
井上 靖
Yesterday, on the street,
I met a man who wasn't there.
He wasn't there again today,
I wish, I wish he'd go away...
When I came home last night at three,
The man was waiting there for me
But when I looked around the hall,
I couldn't see him there at all !
Go away, go away, don't you come back any more !
Go away, go away, and please don't slam the door...
Last night I saw upon the stair,
A little man who wasn't there,
He wasn't there again today
Oh, how I wish he'd go away...
" Antigonish "
is an 1899 poem by American poet Hughes Mearns.
It is also known as "The Little Man Who Wasn't There".
It is said the poem was inspired by tales
of a ghost roaming the stairs of a haunted
house in Antigonish, Nova Scotia, Canada.
" The Man Who Sold the World "
by David Bowie
Bowie commented about the song:
" You have this great searching, this great need to find out
who you really are."
当初、幽霊話にするつもりはありませんでした。
ただ、"夜半の眼覚め" に感動し、
似た雰囲気を持つ英詩を探していたら
こんな感じになってしまいました。
なんでこうなっちゃうかなぁ?
追 記
哲学者、池田晶子先生が「14歳からの哲学」で こう述べています。
― 君が毎日やっているその自分とは、本当は何なのか、知りたくないはずはないでしょう。
もしも君とは、君が単純に思っているように君の体だとしたら、体が死んだら君は死ぬよね。
でも、もし君とは君の体じゃないとしたら、体が死んでも君は死なないことになるのだけれども、
それとも、そんなこと知りたくないかな。―
of a ghost roaming the stairs of a haunted
house in Antigonish, Nova Scotia, Canada.
" The Man Who Sold the World "
by David Bowie
Bowie commented about the song:
" You have this great searching, this great need to find out
who you really are."
当初、幽霊話にするつもりはありませんでした。
ただ、"夜半の眼覚め" に感動し、
似た雰囲気を持つ英詩を探していたら
こんな感じになってしまいました。
なんでこうなっちゃうかなぁ?
追 記
哲学者、池田晶子先生が「14歳からの哲学」で こう述べています。
― 君が毎日やっているその自分とは、本当は何なのか、知りたくないはずはないでしょう。
もしも君とは、君が単純に思っているように君の体だとしたら、体が死んだら君は死ぬよね。
でも、もし君とは君の体じゃないとしたら、体が死んでも君は死なないことになるのだけれども、
それとも、そんなこと知りたくないかな。―
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