2014/06/03

Man on the Moon


月と水が好きになってから
髪に金魚が棲んでいる。



Seit ich den Mond und das Wasser liebe,
lebt ein Goldfisch in meinem Haar,


あきれた話で、気がつくと、
ほかのだれひとり
こんなことはおこっていない。
 

das verblüfft mich, und ich bemerke,
daß das bei keinem anderen Menschen
der Fall ist.


あれからたくさんの川を泳ぎ抜けたが、
水は金魚の気に入らなかった。


Seither bin ich durch viele Flüsse geschwommen,
aber das Wasser sagte ihm nicht zu,


月の男に贈ろうとしたが、
金魚は、星のひかりをあびて
雲と鳥のあいだを泳ぐのはいやだ、という。


ich bot ihn dem Mann im Mond als Geschenk,
doch er weigerte sich, im Licht der Sterne
zwischen den Wolken und Vögeln zu schwimmen,


紅海へ連れていった
だが、金魚は、この髪の薄くらがりで
年をとりたい、と言い張る。


ich führte ihn an das Rote Meer,
aber er besteht darauf,
in der Dämmerung meines Haars zu altern.


こいつをぼくはずっと載せてゆくのだろう、
こいつの鱗がぼろぼろ剥がれ、
灰色の水たまりに死んで落ちるまで。


Ich werde ihn weitertragen,
bis seine Schuppen bröckeln,
Bis er schwarz wird
und tot in eine graue Pfütze fällt.

Goldfisch

From Millan.Net
From Millan.NetFrom Millan.Net

魂は泳ぐのが大好きだ。

人はしばしば、魂が飛ぶ話をする。
が、そうではないのだ。魂がするのは泳ぎだ。
多くの人たちは泳ぎの大好きな魂を持っている。

魂が泳ぐために、うつ伏せの肉体から抜け出てしまうと、
私にはわからないことだが、ある解放が生まれる。
 それは放棄であり、享楽であり、極めて内的な弛緩である。

魂は人間の臆病とか大胆に応じて、階段とか通りに泳ぎに行く。
というのは、つねに魂は、自分と人間をつなぐ 1 本の糸を保っているからだ。
もしこの糸が切れたりすれば、( ときに、それは極めて細い。
しかし、そいつを切るには恐ろしい力を必要としよう )
双方にとって ( 魂にも人間にも ) 恐ろしいことになるだろう。

 
Henri Michaux
L’âme adore nager.

 ドイツの詩人 メッケルの詩と
フランスの詩人 ミショーの詩には
不思議な類似性があると思いませんか?

彼らの頭の中に住んでいる魚(イマジネーション?)は
水中や宇宙へと浮遊しながらも
どこまでも細い糸で繋がっているのでしょう。

なんのことやら!?



Deep Impact, they find clear evidence of water on moon

 

 

  月にも地球と同じ水があるそうですよ。   

なら、金魚もひと安心。 

 

日本語しかできないのに、英語、ドイツ語? 今回のポストは難産でした。