2014/07/21

Awesome Art

赤い館のかたわら
海緑色の池から
樫の死木の下に
月が照る

Aus dem meergrünen Teiche
Neben der roten Villa
Unter der toten Eiche
Scheint der Mond.


  Arnold Böcklin
 1880年
Böcklin himself provided no public explanation as to the meaning
of this painting, though he did describe it as 
“a dream picture: it must produce such a stillness
that one would be awed by a knock on the door.”

 館がくらく
水にうつるところに
男がひとり立ち
指環をはずす

Wo ihr dunkles Abbild
Durch das Wasser greift,
Steht ein Mann und streift
Einen Ring von seiner Hand.


三粒のオパールがきらめき
青白い石のないぶに
赤や緑がきらきらと浮び
流れ沈みゆく

Drei Opale blinken;
Durch die bleichen Steine
Schwimmen rot und grüne
Funken und versinken.



男は石に口づけし
瞳は海緑色
の水底のようにかがやき
窓がひとつひらく

Drei Opale blinken;
Durch die bleichen Steine
Schwimmen rot und grüne
Funken und versinken.



樫の死木のかたわらの
赤い館から
青白い女の手が
男にむかってひらひらと動く

Aus der roten Villa
Neben der toten Eiche
Winkt ihm eine bleiche
Frauenhand.


期 待 /  デメール
Erwartung / Richard Dehmel


アルノルト・ベックリン

ベックリンは1827年にスイスで生まれたが、生涯の大部分をドイツおよびイタリアで過ごしている。
1874年から1885年までのフィレンツェ時代は円熟期で、『 死の島 』 をはじめとする代表作が
この時期に生まれている。 『死の島』 は暗い空の下、墓地のある小さな孤島をめざし、
白い棺を乗せた小舟が静かに進んでいくさまを描いた神秘的な作品である。
彼自身、このモ チーフに魅せられていたようで、その生涯にこの題材で5点の作品を
残している(うち4点が現存)。この作品に見られるように、写実的で緻密な描法と、
画面 にただよう神秘的・幻想的な雰囲気がベックリンの特色である。 
20世紀の シュルレアリスム絵画にも大きな影響を与えた。
第一次世界大戦後のドイツでは、非常に人気があり、一般家庭の多くの家に、
複製画が飾られていた。中でも代表作の『死の島』は特に人気が高かったと言われ、
複製画の他にポストカードの題材としても盛んに使用された。
アドルフ・ヒトラーも彼の作品を好み、代表作である『死の島』の第3作を始め、
11点所有していたと言われる。



  
 怖い 怖い
夏だからって 足の無い青白い人達に
招かれたくありません。

また、神秘学的な伝承では、オパールは第三の目を開き、
宇宙意識や前世意識とつながるための助けをするとか・・・?
ホントですか !? (゚ー゚;) コエ~


 


鉄斎が描く夥しい数の仙境画の中で、一つを択ぶとすれば
「心遊仙境図」というのを挙げる。 仙境は巨大な岩のうてな
の上に築かれている。 滝は岸壁にかかり、流れは岩の肌の上を
奔っている。楼閣も、亭も、岩の上に営まれ、数少い樹木も
岩の上から生え立っている。どこにも人の姿はなく、
巨大な岩の舞台の裾を洗う潮の音が聞えているだけだ。
この孤絶した無人の理想郷に月を配してみると
おそろしいほど荒涼としている。まるで冥界だ。八十七歳の鉄斎は、
自分以外の誰もが足を踏み込むことのできない仙境を描いたのだ。
 深夜こっそりと、月光を浴びて、彼はその中に入ってゆく。

仙 境 / 井上靖

 
1923年

没後90年  鉄斎展 TESSAI
 2014年6月14日(土)~8月3日(日)

Tomioka Tessai

全く違う国で描かれた絵なのに
相通じるものがあると思いませんか?
こういうのを シンクロニシティ と言うのでしょうか

12 件のコメント:

  1. Live with art is awesome !
    Have a fantastic day
    X

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    1. My dear Mr.Puddy =ΦwΦ=
      Yes, Life is awesome.
      Thanks! You, too.

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  2. こんばんは。 ラフマニノフの「死の島」もベックリンも全く知りませんでした。幻想的ですね。鉄斎は先日、「ぶらり美術館」で山田五郎の解説を見たばかりです。
     ロリンマゼールが亡くなられたばかりなので、インスピレーションを受けられたのでしょうか。
     最初の絵画と二枚目は同じものでしょうか。 印象がかなり違います。 井上靖の解説にも泣かされます。
     

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    1. いつもありがとうございます。
      私は日々チャラチャラした音楽しか聞いていないのですが、今回この曲は真剣に聴いています。
      実は、ベックリンの絵画 「死の島」を本の表紙で初めて見た時感じた畏怖と ドイツの詩人 デメールの「期待」に描かれる情景に似たものを感じたのが今回のポストの動機です。 教えて頂いた ロリンマゼールのラフマニノフ:交響曲第2番も聴いてみたくなりました。 二枚目の絵は最初の絵の切り抜きです。本の表紙がこんな感じだったので、皆さんにご紹介したくなりました。 
      井上靖の解説で鉄斎展に俄然興味が湧きました。 言葉の力は凄いですねd(゚-^*)!

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  3. またまた魔訶不思議な世界への案内ありがとうございます。確かに暗がりを照らす月の光、それも海面となると異次元の世界に通じていくような感覚をおぼえますよね。「死の島」そんなに人気があったのですか。私はちょっと家に飾りたいとは思わないですが^ ^;月光の神秘、寂寥、孤高と言ったものは厳しい自然の中の孤島と相まって、それによって引き起こされる感情は文化や国民性を問わず共通したものかもしれませんね。井上靖の解説はやはり巧みですね。今回もポスト楽しませていただきました。

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    1. cosmosさん こんにちは。
      暑い日々が続いていますね。 いかがお過ごしですか?
      Sho-kun 可愛い盛りでしょうね! Cooちゃんも今の季節は外遊びは無理ですね。

      おしゃられるように、私もこの絵を家に飾りたいとは思いません。そこは理解に苦しみますね。
      少し調べたところ 彼らドイツの方々はこの絵に癒しを感じ、こうした静かなところで永遠の眠りにつきたいと思うらしいです。  

      鉄斎の絵なら和室に飾ってもいいですよね。 (*'ー'*) その辺の違いなのかな??

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  4. ✿⊱。¸.
    Esse livro parece fantástico!

    Boa semana!
    Beijinhos.
    •°♪♬♫º°

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  5. Hi! Magia da Inês =*^-^*=
    It seems like we are peering into the bottom of the valley anxiously.

    Gracias, You, too. ヾ(´(エ)`ノ゙

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  6. 不思議な世界の絵画も詩もここで紹介されると興味をもって見てしまいます。動画はサイト制限があり見られませんでした。ラフマニノフは「死の島」からインスピレーションを受け作曲したのでしょうか。それとも同じようなアイデアを持っていて楽譜に表したのでしょうか。(そうなら、これは分野が違いますがやはりシンクロニシティ?) オパールと言えば、亡父に買ってもらったお気に入りのメキシコオパールを泥棒が侵入した際に盗まれました。以来、私の第三の目は宇宙や前世につながる機会を失ったようです。

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    1. Yokoさん こんにちは。 今年も暑い夏になりそうですね。
       興味を持った不思議な絵に繋がる糸を手繰っていくと、ずるずるといろんな物が出てきたような感じです。 懲りずに、別の動画を再アップしてみました。 ラフマニノフは、ベックリンのこの絵を見て作曲したようです。 私もこの絵に出会わなければ、ラフマニノフの曲を聴く事もなかったし、井上靖のこの詩にも、鉄斎の絵にもそれほど興味を持たなかった事でしょう。
       洋子さんが大切にされていたオパールを盗んだ泥棒の罪は宇宙までつながる重さでしょう。 残念ですね。(U_U)

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    2. 新ポスト、武者小路氏の言葉の紹介ありがとうございます。いったいいつになれば人間は過去から学び、叡智を尽くして平和を築くことができるのでしょうね。現に紛争の起こっているところだけでなく、阿部首相の言われる積極的平和主義もいくら響きのいい言葉で説明されても、武器の輸出、共同開発などから見ると結局は、peace through warsと言ってるじゃないと思います。

      動画の再挑戦のおかげで、Youtubeが開けました。ベックリンの絵がこんな音楽になったんですね。

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    3. Yokoさん こんにちは!
      新ポストへのコメントをこちらへ頂き ありがとうございます。
      私も懲りないほうですが、原爆を落とされた屈辱的な敗戦国が、少子高齢化で負担を強いられる日本の若者に さらなる犠牲を負わせるような選択をしようと考えるのか解りません。 勝てる戦争なんてない!想像力のよわい人間。 この言葉を肝に銘じたいです。 

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