Narcissus vanished. All that remained
was the fragrance of his beauty—
constant and sweet, the scent of heliotrope.
His task was only to behold himself.
Whatever emanated from him he loved back into himself.
He no longer drifted in the open wind,
but enclosed himself in a narrowing circle
and there, in its grip, he extinguished himself.
Narcissus
Rainer Maria Rilke
ナルシスが死んだ その美しい姿からは絶え間なく
まるでヘリオトロープの香りのように濃密な
彼の本質に近いものが立ちのぼっていた
けれども彼の運命(さだめ)は 自分を見つめることだった
彼は愛した 自分から出て また自分のなかへ帰って来たものを
そうしてもはやあからさまな風のなかにまじってはいなかった
うっとりして さまざまの姿の圏を閉じ
自分を放棄しながら 彼はもはや存在することができなかった
ナルシス
リルケ
Death in Venice
Paul Thomas Mann
ヴェニスの太陽は私の髪の中に
金を生みだします これはあらゆる錬金術の
高貴な結末です 橋に似ている
私の眉毛 それが両眼の
声のない危険のうえに架っているのが
見えるでしょう この眼はひそかに
運河とつながっているので その中で
海が満干につれて 盛り上がったり 沈んだりしています
いちど私を見たひとは私の犬を羨みます
なぜならどんな情火にも焦げつかず
傷つくことを知らない私の手が 指輪をはめたまま
よくぼんやりとその背中に休らっているからです
そして旧家の希望である少年たちは
私の口にふれて 毒を飲んだように破滅していくのです
クルティザーネ
リルケ
Grappa Cavalin | Assenzio distillerie Cavalin
Venedigs Sonne wird in meinem Haar
ein Gold bereiten: aller Alchemie
erlauchten Ausgang. Meine Brauen, die
den Brücken gleichen, siehst du sie
hinführen ob der lautlosen Gefahr
der Augen, die ein heimlicher Verkehr
an die Kanäle schließt, so daß das Meer
in ihnen steigt und fällt und wechselt. Wer
mich einmal sah, beneidet meinen Hund,
weil sich auf ihm oft in zerstreuter Pause
die Hand, die nie an keiner Glut verkohlt,
die unverwundbare, geschmückt, erholt -.
Und Knaben, Hoffnungen aus altem Hause,
gehen wie an Gift an meinem Mund zugrund.
Die Kurtisane / Rainer Maria Rilke
sweet demon drink is trappy.
確かに、甘いお酒ほど 悪酔いするものですね。
お気をつけて・・・